中田秀夫

監督/中田秀夫


コメント

「終わった人」の衣裳打ち合わせで、舘さんに「映画の始まりでは、思いっきりカッコ悪くなって欲しい」とお願いし、「アバウト・シュミット」のDVDをお渡しし、体型を崩して見せる相談をした。舘さんはすぐにピンと来てくださり、「面白い。やってみましょう。でも、ニコルソンの芝居は真似できないよ(笑)」瞬時に、私は舘さんの人間力に惹かれた。現場中も、「ドタバタ=ズッコケ感」、広末さんとの「ロマンチック・コメディ感」をどう創り出していくか、細かく話し合った。私としては、正面切ったコメディ場面は初めてなので、実はかなり緊張していたが、舘さんが持ち前のコメディ・センスと運動神経で演じてくださり、広末さんも絶妙なアイディアをくださった。監督冥利に尽きると思った。一方で、「終わった人」の物語の重心は、キャリアを終えた主人公が、まだ仕事をしたい、ともがき、黒木さんとの夫婦関係を見つめ直し、故郷への想いも深い「定年後の意外や、波乱万丈ライフ」を描く点にある。このドラマ部分は、舘さん、黒木さんたちとの綿密なリハーサルを経て、コメディとドラマが有機的に織り合わされるよう努め、私も含めた中、壮年世代層を見据えて「笑って泣いて、最後はほっこり温まってもらう」映画を目指した。


プロフィール

1961年7月19日生まれ、岡山県出身。「本当にあった怖い話」(92/EX)で監督デビュー。『女優霊』(96)、『リング』(98)、『仄暗い水の底から』(02)と、日本映画界にホラー旋風を巻き起こし『ザ・リング2』(05)ではハリウッドデビューも果たす。
近年では『ホワイトリリー』(16)で28年ぶりにロマンポルノに携わり、「屋根裏の恋人」(17/CX)でも監督を務めている。舘とは今回初タッグであり、黒木とは『仄暗い水の底から』(02)、『怪談』(07)に続く3作品目となる。ホラー専門の監督と思われがちだが、本作を「本当に撮りたかった作品」と語り、自ら原作に惚れ込んで企画した。